ホリプロ

｢法王庁の避妊法｣
会場／世田谷パブリックシアター（世田谷）

作／飯島早苗　　演出／鈴木裕美
出演／勝村政信　稲森いずみ　三上市朗　他

大正時代、新潟市内の竹山病院産婦人科。産婦人科医長・荻野久作の診察室。
「お父ちゃんと仲良くしたのはどの晩だった？」
「…え？」
「私と結婚したら、月経の時はこのカレンダーに赤鉛筆でマル印をつけていただきたい」
「…は？」
病院にやってくる純朴な農家のおかみさんたちは目を白黒させ、彼の妻にいたっては月経や夫婦生活の記録までも論文に発表されて大迷惑！「生命の大切さ」というテーマを軸に、人々の姿をほのぼのと描いた、飯島早苗の傑作戯曲。ローマ法王庁がはじめて認めた避妊法「オギノ式」を巡る、荻野センセイと彼を取り巻く人々の愛らしくも滑稽な物語です。

文学座公演

｢リチャード三世｣
会場／世田谷パブリックシアター（三軒茶屋）

作／ウィリアム・シェイクスピア　　演出／レオン・ルービン
出演／江守徹　林秀樹　田村勝彦　外山誠二　石川武　他

ランカスター家との抗争に勝利し凱歌を挙げるヨーク家の中で、背徳の炎を陰鬱と燃やすグロスター公リチャード。
「いっそのこと敵役になって、ああいう馬鹿馬鹿しい快楽を呪ってくれよう」
鬱屈した魂がもたらした不敵な悪党宣言がこの物語の始まりとなる。悪辣なる奸計によりライバルたちを次々に葬り去り、実兄の未亡人を声色巧みに陥落せしめる。
憎悪、背任、智謀。あらゆる背徳をその身に纏い、リチャード三世を名乗って王位簒奪の宿願は成し遂げられる。振り返れば累々と築きあげた死の山。孤独の中、やがて破滅が訪れる…。

国立劇場１１月歌舞伎公演

｢天衣紛上野初花　（くもにまごう うえののはつはな）｣
会場／国立劇場　大劇場（半蔵門）

主な出演者／松本幸四郎

幕末の江戸市中を騒がせた六人の悪党を描いた講談「天保六花撰」を題材にした作品です。その中心人物になるのが、河内山宗俊と片岡直次郎（直侍）。今回は、松本幸四郎がこの二役に挑みます。
その身はお数寄屋坊主という河内山宗俊。「悪にも強きは善にも」と、持ち前の気風と度胸を発揮して、宮家の使僧に化けて、理不尽な大名・松江出雲守と堂々と渡り合い、一人の娘を救い出すという大博打を仕掛けます。素性が知れても逆に居直り、胸の空くような啖呵を聞かせます。河内山のスケールの大きさと七五調のリズミカルな名台詞が、観る側の心を爽快にしてくれることでしょう。この河内山の企みに加担した仲間の一人が片岡直次郎。御家人崩れの遊び人で、吉原の遊女三千歳とは深い中。しかし悪事が露顕したために悲しい生き別れとなる運命を辿ります。恋敵の剣客・金子市之丞、直侍の弟分・暗闇の丑松を絡めて、直侍と三千歳、男女のやるせない情愛の魅力を詩情豊かに謳い上げます！

人と人形、光と陰が織りなす、美しくも哀しいラブストーリー

｢怪談　ＯＢＯＮ　〜三つのラブストーリー｣
会場／シアタートラム（三軒茶屋）

脚本・演出／ピン・チョン　　

２００２年４月にアメリカのシアトル・レパートリー・シアターで世界初演され、その後サウス・キャロライナ州のスポレイト・フェスティバルなどアメリカ各地をツアーしました。
『怪談−ＯＢＯＮ』は、アメリカ側が脚本・演出、照明・音響デザインを、日本側が美術デザイン、人形デザイン及び製作を手がける画期的な日米共同プロジェクトです。
今回の日本ツアーでは、ユキコ役に元ネザーランド・ダンス・シアター�Uのダンサーの井関佐和子を、また人形師に中村みちよと小室美由紀を迎え、上演します。
小泉八雲の「怪談」「霊の日本にて」と、上田秋成の「雨月物語」の三作品をもとに、ピン・チョンが脚本を書き下ろした三部構成からなる、美しくも哀しいラブストーリーです。
アメリカ公演では、「息をのむような美しさをたたえた話」と大絶賛されました。

ＴＳミュージカルファンデーション

｢砂の戦士たち｣
会場／サンシャイン劇場（池袋）

原案・演出／謝珠栄　　脚本／高平哲郎
出演／石川禅　笠之坊晃　川本昭彦　駒田一　坂元健児　縄田晋　他

「砂の戦士たち」
１９３０年代のブラジル、小さな港町サルバドールを舞台に、貧しくもたくましく生きる少年たちの姿を描いた、ブラジルの作家ジョルジェ・アマードの傑作小説。
その作品を舞台化しようとしている、何処にでもありそうな、ひとつの劇団があった。
僕は、そこにいた。
飢えと貧困に苦しみ、盗みを繰り返しては警官に追われる日々。それでも明日を夢見て生きつづける少年たち。
飽食の時代に生まれ、食うのに困らない程度の豊かさを生き、それでも明日に悩み何となく生きている青年たち。
交わることの無いはずの二つの「虚」と「実」が、「舞台」という世界で一つとなり、「虚」の中の「実」と、「実」の中の「虚」を照らし出す。
でも、僕にはどちらだって構わない。
信じるべきは、手の平に残った、この感触…。

チェーホフ没後１００周年公演／劇団俳優座

｢三人姉妹｣
会場／俳優座劇場（六本木）

作／Ａ・チェーホフ　　演出／安井武
出演／可知靖之　荘司肇　伊東達広　他

ロシアの田舎町に暮らす三人姉妹、オリガ、マーシャ、イリーナは、単調な日々の生活から脱出し、かつて暮らしていた輝かしいモスクワでの生活を夢見ていた。
沈滞した日常を和らげるわずかな楽しみといえば、砲兵隊士官たちの訪問。
希望を胸に秘めながら、未来を語り合うことに喜びを見出し、心の慰みとしていた。
しかし月日が経つにつれ、マーシャの不倫、イリーナの愛のない婚約、三姉妹のアンドレイの堕落した結婚生活など、空虚な陰りが厚みを帯びていく。
そして突然の砲兵隊の移動の報。
残された三姉妹の思いは…。

世田谷パブリックシアター芸術監督 野村萬斎監修

｢現代能楽集 ＡＯＩ／ＫＯＭＡＣＨＩ｣
会場／シアタートラム（三軒茶屋）

作・演出／川村毅
出演／＜ＡＯＩ＞麻実れい　森ほさち　他　＜ＫＯＭＡＣＨＩ＞手塚とおる　福士惠二　他

昨年の就任以来、新たな企画を立ち上げてきた世田谷パブリックシアター芸術監督・野村萬斎が、「能を現代の舞台によみがえらせよう」と企画・監修する「現代能楽集」シリーズがいよいよ今秋スタートします。
満を持しての第一弾は、能の「葵上」をもとにした『ＡＯＩ』と、「卒塔婆小町」をもとにした『ＫＯＭＡＣＨＩ』の二部構成。
つねに現実に先んじて社会に鋭い視線を投げかけてきた劇作家・演出家 川村毅がこの二つの異なる能の名作に、それぞれまったく違った作劇でアプローチ。新たな命を吹き込みます。
二十一世紀を生きる私たちの演劇として、「現代」によみがえる『ＡＯＩ』『ＫＯＭＡＣＨＩ』にご期待下さい。